ワールドカップ(W杯)ロシア大会を中心にサッカー界でさまざまな話題があった2018年も終わりが近づき、新年早々には「森保ジャパン」がアジア王座奪回に挑む戦いが始まる。日本代表について今年の総括と、将来に向けての課題は何か。セルジオ越後氏(73=日刊スポーツ評論家)に語ってもらった。

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W杯ロシア大会では直前まで問題山積みだった日本代表が決勝トーナメントまで進んで、想定以上にメディアやファンは盛り上がった。森保ジャパンになると、本田や長谷部らが抜けて、すぐに堂安、南野、中島らが出てきた。まるで先輩が卒業した後の学生チームのよう。うまく入れ替わったともいえる。

だが、根本的な問題は変わっていないと思う。監督が代わったらすべてリセットされてしまうのが日本の悪い癖。最大の“事件”だったハリルホジッチ元監督の解任について、検証することも協会幹部が責任を取ることもない。14年W杯ブラジル大会の1次リーグで惨敗した時も、監督が交代しただけ。いつも同じことの繰り返しだ。

アギーレ元監督の解任を受けて就任したハリルホジッチ氏の船出も、森保ジャパン同様に順調だった。その後、ふがいない試合をしても協会は続投させてきたのに、W杯2カ月前に急に手のひら返しをした。この体質なら、森保監督も年明けのアジア杯で勝てないと「五輪代表との兼任は大丈夫?」となりかねない。

オリンピック(五輪)代表もどれだけ強化が進んでいるのか、見えてこない。卓球やバドミントンなどでは「東京五輪の金メダル候補」が続々と生まれ、フィギュアスケートも新星が現れた。サッカーが取り残されている感じがする。U-21代表で臨んだアジア大会では、Jからは1クラブ1選手ずつしか選べない制限があり、欧州組も呼べなかった。日本協会の本気度を疑ってしまう。

日本の国体では開催地である都道府県が圧倒的に強い。地元開催に向けて予算を確保し、強化するからだ。男子マラソンだって報奨金1億円という「ニンジン作戦」で日本新記録が2回も出た。A代表や五輪代表の強化のため、少なくとも強い相手と親善試合をするとか、そのために欧州や南米に出向くとか、お金をかけることも必要だ。予算が足りないって? 赤字になっても強くなってもらった方がいい。必ず何かの形で返ってくる。